トレーニングスキル研修

2004年12月28日

12月12日から17日まで6日間をかけてスタッフに対する研修をヤンゴンで行いました。その内容をご紹介したいと思います。私が担当したのは「トレーニングスキル」と題するテーマで2.5日間かけました。94人という大人数の参加者を2グループに分け、各グループに対して研修を行いました。スケジュールは以下の通りです。

1日目 2日目 3日目
セッション1 Learning Process Attention Tracking Design a Training Exercise (2)
セッション2 Communication Process Develop a Checklist Evaluate your Training
セッション3 Three Ways of Listening Plan a Training Program
セッション4 State Elicitation Design a Training Exercise (1)

すべてのセッションは「体験学習モデル」に基づき、対象とする概念やスキルを参加者が自ら経験して発見するという形式をとりました。演習や参加者間のディスカッションを中心としたものとし、講義はできるだけ避けました。人間は耳で聞いただけで覚えているのは10%のみと言われており、自分の言葉で表現し、実際にやってみるとその確率は90%まで上がります。また講義という形式は参加者にとっても私にとっても退屈きわまりないものですので、体を動かして、仲間と話し合って、笑いのたくさんある研修にすることに努めました。

このほかに目指したことは、コミュニティファシリテーター(CF)が自分の頭を使って村で村人を相手に研修を実施していけるようになることでした。ですから、研修を実施するスキルはもちろんですが、演習(参加型アクティビティ)の開発も含めた研修の計画、そして自己評価をして次の研修へ向けて改善していくという基本的なPlan-Do-Seeのサイクルを回していけるようになることも研修の主眼として置いていました。

内容をおさらいしますと、まず概念として「成人学習(Adult Learning)」の原則を学びました。これは参加者が、学校以外の自分の人生の中で、どのようにして教訓となるようなことを学んだかをふり返るもので、それによって大人の学習メカニズムを理解するようにします。トレーニングスキルとしては、上表のコミュニケーションスキル、傾聴のスキル・態度、参加者が学べる雰囲気づくり、参加者への目配り・気配りです。そのあと、よいトレーナー/ファシリテーターとしてのチェックリストをつくりました。これで自分が研修やファシリテーションを行っているときに、自己評価の基準とすることができます。そして、計画に入りました。まず大きな研修プログラムの作り方、そしてプログラムの中で特に重要な位置を占める演習(参加型アクティビティ)の開発のあと、それを実施するセッションを行いました。最後に、前に作っておいたチェックリストを使って、自分たちがトレーナーとして行った演習を自己評価してもらいました。

結果としてとてもよい研修になったと思います。私が楽しかったのはもちろんのことですが、参加者にも楽しんでもらえたようです。また私にとってはとても学びの多い6日間でした。失敗も何回かやって、そのぶん学ぶことも多かったです。参加者にとってはどのくらい学びがあったのか、どれほど収穫があってそれを現場で実際に使えるのか、このあたりはこれから現場へ行って拝見させてもらいます。一ついえることは、彼らの中には何か目覚めるものがあっただろうということです。各自が課題を見つけられたようですので、これからもしっかりとフォローをしていきます。なにしろ、プロジェクトの成否はこのCFの双肩にかかっていますから。


番外編

私が担当したのは94人でしたが、今回のワークショップにはそれ以外にも現場事務所のマネジャーやサポートスタッフもヤンゴンへ招聘し、研修を行いました。マネジャークラスは中堅も含めて約70名、サポートスタッフは30人ほどでしたから、ヤンゴンに集まったスタッフは全員で200人ほどでした。200人の研修を行うというのは並大抵のことではなく、何ヶ月も前から準備をしていました。最終日の閉会式にはスタッフ全員が集まり、200人以上がそろった絵はなかなか壮観なものでした。同時に、これらスタッフ全員のマネジメントをしているのかと思うと、責任の重大さを感じました。

とにかく、今回の研修はとても楽しかったです。ほとんどのCFはミャンマー辺境地域の中でもさらに田舎出身の若者たちですので、初めて経験したことも多かったはずです。例えば、ヤンゴンのおしゃれで清潔なホテルで研修を受けて、昼ごはんを食べて、お茶を飲むといった些細なことも彼女たちにとっては大きなイベントです。また、研修の休憩中には世界遺産やオーストラリアの自然などのDVDを流しておいたのですが、日本人にとってはもう珍しくも何ともないような映像を見ることでさえプロジェクトの現場ではなかなかできません。20代前半の年頃のお嬢さんたちが多いですから、ヤンゴンへやってきてせいいっぱいのおしゃれをして、おしゃれな洋服を買って帰っていく。こんな息抜きも普段は過酷な現場で仕事をしている彼女たちにとってはとても素敵なことです。今回の研修ではこのような機会を与えることができた喜びを私自身も噛みしめることができました。スタッフの顔を見ていると本当に嬉しそうで幸せそうだったのが印象的で、私も幸せな気分にさせてもらいました。


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