コンテントとプロセス
2004年11月26日
つい最近こんなことがありました。
コンサルタントを雇って試験的に村のリーダたちに対する研修ワークショップを開くことになりました。将来いつまでもCDRTが続いていくわけではないので、CDRTが活動を停止したときも継続して村人が自分たちで村の開発を進めていけるように少しでも手助けができないかというのを考えるのが目的です。今回は特に村のリーダーたちに焦点を当てて、彼らがどのようにして村の開発を進めているのか、その現状を理解するのが目的です。
ある日事務所にコンサルタントのチーム3人が打ち合わせにやってきました。ところが、私たちCDRT側とコンサル側の話が一向に進展せずまったくかみ合いません。コンサルのほうは、村人たちに考えてもらうトピックを考えて、それを一所懸命に私たちに説明してくれました。例えば、村の中にある組織は?誰が権限を持っているのか?どのような決まりやルールがあるのか?誰が意思決定を行うのか?CDRTの活動(特にSRG)に対する村長たちの考えは?収支の記録は文書になっているか?マネジメントに透明性は確保できているのか?などなど。
これらの質問ももちろん大切ですが、これだけでは村人たちとの話し合いはうまくいきません。
今回のワークショップには、村人から情報を得るという目的はあるのですが、同時にこのワークショップは村人たちにとっても有意義なものであるべきです。そのためには、ただ単に質問をすればよいわけではなく、村人たちが快適に自分の考えに集中し、遠慮せずに発言し、相手と意見を交換し、一緒に創り上げていく、そのための「場」を提供することが不可欠です。つまり、どのようにして(HOW)質問をしていくのか、あるいは議論を進めていくのかということが重要になってきます。話し合いの内容を「コンテント」、その話をどのように進めていくのかというのが「プロセス」と呼び、ファシリテーションを行うには必須の概念です。特に識字率の低い農村では、口頭で話していてもその話についていけない人が出てきます。そこで様々な工夫が必要になってくるわけです。基本的なこととしては、耳で聞くだけでなく、目で見たり、手で触れたりできるようにすることです。つまり、五感を総動員するわけです。人間はそれぞれ得意なコミュニケーションのチャンネルが異なります。話すのがうまい人もいれば、絵がうまい人、歌がうまい人、運動神経のよい人、方向感覚が優れた人などまさに十人十色です。
例えば、村の中の組織の話をするときには図にして考えてみる。力のより大きな組織(メンバー数なども)は大きな丸、力の小さな組織は小さな丸で表現して、その関係を矢印などで表すなど効果的なことがあります。これをベンダイアグラム(Venn Diagram)と呼んでいます。
このようにファシリテーターには様々な工夫が求められます。コンテントも大切ですが、村人と話をする時には特にプロセスにも十分に気を配る必要があります。