現場ジャーナル 3月7日-3月13日
2005年3月7日(月)
日曜日から今日にかけて「ゴールデンロック」で有名なチャイティーヨへ行ってきました。ヤンゴンからは、車、乗合トラック(荷台)と乗り継ぎ、最後は徒歩(1時間)と、合計で7時間ぐらいかかりました。
直径5メートルほどのこの岩は何ともふしぎで、崖のふちにちょこんと載っているだけのように見えるのですが誰が押しても決して落ちないそうです。行く前は押してやろうと考えていたのですが、いざ近くに寄ると周りの人たちが真剣にお祈りをしているので、そんな雰囲気にはなれませんでした。たくさんの信者たちがお参りに来て岩に金箔を貼り付けていました。
2005年3月8日(火)
胆石のため入院していた同僚が退院してきました。ミャンマーでも意外としっかりとした治療が受けられるようで超音波で石を砕く手術を受けました。まあ、公共の病院ではこうはいかないでしょうが、民間では施設も思ったよりも整っているようです。
とりあえず石は体外へ出て一安心です。今日はその石やレントゲンなどを見せてもらいました。でも、手術に関わっていない医者の分まで金を請求されたといって彼は怒っていました。このへんはミャンマーらしいというか…。手術室には2人しか医師が立ち会っていなかったのに、3人分請求されたそうです。それも請求されたのは病院長の奥さんだったとか。麻酔は受けても目をちゃんと開けて見ていたんだとクレームをつけたようですが、だめだったようです。
本日のミャンマー語講座!
Be ha po kaun da le(ベーハ ポ カウンダレー)?どっちがいい(うまい)の?
Be haはWhichにあたります。poは「より〜(=more)」です。カウンは「よい」という意味で、いろいろな場面で使える便利な形容詞です。
2005年3月9日(水)
本日のミャンマー語講座!
Ma soe babu(マソーバブー).悪くないねぇ。
マ〜バブーで否定文をつくります。soeは前にも出てきた「悪い」です。こんな簡単なビルマ語でも片言でしゃべるとミャンマーの人たちはとても喜んでくれます。
2005年3月10日(木)
今朝読んだメルマガから。コジマのある店長について、「これくらいのチェーン店ともなると、店長はお客の方でなく、本部の方を向くものです。いかに本部の意向通りに店舗運営を進め、自分の失点を少なくするかと考えます。余計なことをして失敗しないようにと考えるのです。つまり、店長からマーケティングの意識がずい分希薄になり、攻めの意識が薄れてしまうのです。そして、ともかく本部から言われたことだけは徹底的にやるという姿勢になりがちです。」(日経MJに見るマーケティングの戦略・戦術 576号)
うちのプロジェクトでも本部と現場に事務所があって、チェーン店と少し似ているところがあるかもしれません。現場事務所は4つのエリアごと、そして13のタウンシップごとに事務所があります。面白いのは(当たり前ですが)それぞれのエリア事務所の性格、それから各エリア事務所傘下にあるタウンシップ事務所の性格が異なることです。これはエリアを統括するマネジャーの影響にところが大きいのです。困ったことは、エリア・コーディネーター(マネジャーの役割)やタウンシップ・コーディネーターの中には「失敗を恐れる」人がいることです。いくら「失敗から学ぶ」とか「失敗は成功の元」と本部からいっても理解できないようです。理解できても体が動かないのでしょう。結果として、失敗を隠すという行為を見かけることもあります。
現場のスタッフが主体性を発揮できるような仕組みが必要なのはわかりますが、それはどのような仕組みなのか。メルマガに登場した店長さんは、部下に考えさせ、実施内容をスケジュールに落とさせ、しっかり行動させ、その結果をチェックさせているそうです。やろうとしていることはうちでも同じですが、現場事務所のマネジャークラス(全員ミャンマー人)の中には、部下に考えさせ、行動させ、失敗を許容できるという人が少ないように思います。
本日のミャンマー語講座!
バイッ サー デー。マ ネーナイ ドブー。腹が減った。我慢できん。
ネーナイは「我慢する」です。
2005年3月11日(金)
ミャンマー人の同僚がよく口にする美徳としてObedientがあります。今日の昼休みにも、「彼はObedientだからよい部下だ」というような話がありました。Obedientとは「命令や指示に忠実に従う」という意味ですが、これにはどうしても意識のギャップを感じずにはいられません。
私の組織の理想像は、メンバー一人ひとりが自分の頭で考え、行動できるということですから、Obedientは美徳ではなくむしろ悪弊です。ミャンマーでは先生と親を敬い、言われたことは従わないといけないとされています。それはそれで大切なことですが、自分の頭で判断することがおろそかになります。
うちのプロジェクトではスタッフ一人ひとりに自分で考えて、行動するようにいつも言っていますし、研修や打合せのときなども「何をやれ」とは言わずに方向性だけを示すようにしています。当初は何をやったらいいのかわからずに戸惑うスタッフがほとんどでしたが、今ではその意識も変わりつつあります。でも、いまでも意識の底ではObedientが美徳という考えも残っているようです。人の考えを変えるのは一筋縄ではいかないということですね。