現場ジャーナル 11月15日−21日


2004年11月15日(月)


先週土曜日から2泊3日でビーチへ行きました。日本でいう「社員旅行」です。ヤンゴン事務所に勤めるスタッフとその家族が同伴しました。総勢33名の団体でした。

行き先はNgwe Saung(ヌエサウン)というヤンゴンからほぼ西へ7時間ほど行ったところにあるビーチです。このあたりはチャウンタというビーチが有名で旅行ガイドにも掲載されていますが、Ngwe Saungのほうが数段よいというのが両方とも行ったことがある人の感想です。

実際、Ngwe Saungはまだまだ観光開発がなされていないので、訪れる人も少なく、穴場リゾートです。街からも少し離れているので、白い砂浜に青い水と本当にきれいなところでした。

途中の道路の状態がかなり悪いのが唯一の欠点ですが、あの砂浜と海はそんな苦労をする価値のあるものでした。


2004年11月16日(火)

12月12日から17日まで現場スタッフを対象に年間レビューワークショップを行います。レビューとはいえ、研修が中心になります。対象は、現場スタッフ全員ですので、200人以上がヤンゴンへ集結することになります。

その研修のために場所探しをしているのですが、今日はTechnical Education Departmentの建物を見に行きました。UNDP事務所から車で5分ぐらいのところにあり、5階建てぐらいの大きな建物が二つありました。ちらっと見ただけですが、事務所に椅子はあっても、座って仕事をしている人はほとんでいません。座っていたとしても、新聞や雑誌を読んだりしている人が多く、他の発展途上国の役所と似たり寄ったりでした。


2004年11月17日(水)

昨日もお話したスタッフ研修のプログラムづくりをしています。私は、スタッフの中でももっとも住民に近いところで働くCommunity Facilitator(CF)の研修を担当する予定です。私が担当する分野は、研修スキル(Training Skills)です。多くのスタッフは、従来学校でやっているような「詰め込み式・講義式」の研修は農村住民に対しては効果的ではないと頭ではわかっていても、では、どのようにして参加者の「学び」を高めるかというスキルの部分についてはまだまだ弱いです。それに、頭でだけわかっていても実際にするかどうかは、その人の内面(価値観や信念)にも関わってきますので、その部分にも影響のある研修にしたいと考えています。


2004年11月18日(木)

東南アジアの名物ともいえるのがヤモリです。ホテルでも、家でも、事務所でも、昼夜を問わず壁には必ずといっていいほどヤモリがへばりついています。

わが家でも、このヤモリたちが住みついています。昨日までの時点で3匹。はじめは、虫を喰ってくれるし、動きはユーモラスだし、かわいい家族の一員などと悠長にも思っていました。しかし、これがだんだんと疎ましい存在となり始めたのです。なぜか。夜になると、キッキッキッキと甲高い声で鳴くのです。これをやられると眠れなくなる。しかも、ここ最近はそれがひどく、少々寝不足にもなりかけていたこともあり、「掃討作戦」に打って出ました。これが18日の早朝3時半ごろでした。

敵もなかなか手強く、隠れるところを心得ているようでした。カーテンの裏、家具と壁の間、ソファーの下など、散々逃げ回りました。最後は、少々お疲れだったのか、動きが鈍っているようでした。ソファーを持ち上げ、用意しておいた箱を上からかぶせてお縄となりました。ここまで苦労したものですから、逃がしてはたいへんと、慎重には慎重を期して箱の下に厚い紙を滑り込ませ、ゆっくりゆっくりと床の上を移動させました。玄関に近づいたところで、これまた慎重に箱を持ち上げ、外へと持ち出しました。猫ではありませんが、捨ててきてもすぐに帰ってこられてはたいへんと、マンションの同じ階でもうちとは正反対の場所へと運び、そこでヤモリくんを解放。運ばれてきた護送車が気に入ったのか、なかなか出てこようとしませんでしたが、そのうちに箱から新しい環境へと飛び出していきました。


2004年11月19日(金)

CDRTプロジェクトでは保健教育(Health Education)を外部に委託して実施・管理を任せています。MOTIVEという会社です。ミャンマーでは、実質的にNGOを設立するのが非常に困難なので、必然的に会社に委託することになります。会社とはいっても、実質的にはNGOの役割を果たしている非営利組織です。政府が認可したNGOもあるのですが、果たして「非政府」と言えるかどうか。これについては、いずれお話します。

写真に写っている人たちは、このMOTIVEのスタッフです。この日は年に数回行う研修のためにヤンゴンへ来ています。約1週間の研修で、保健教育の方法やその内容について研修を受けます。うしろの壁に貼ってあるのは保健教育で使う布製のポスターです。この人たちは、普段はそれぞれの現場で村人に対して保健教育を行ったり、保健活動を支援したりしています。みんなとても熱心で、今までのところよい結果が出ています。例えば、村の人たちに聞くと、保健教育のお陰で、マラリアや下痢の件数が激減したとのことです。

今日感じたのは、こういう現場でがんばっている人たちに会うと、元気がもらえるなあということです。この人たちとは私が現場へ出張したときにほぼ全員会っていて、懐かしい思いもありました。中には、Mr. Hiro(と何度やめてくれと頼んでもミスターを付けて呼ばれることが多いです)が行った村の人たちからメッセージを預かってきたと言うスタッフもいました。私がその村を訪れたのが5月でした。小さい村で世帯数はわずか20。チン州のハッカという街から車で20分ぐらいのところにある村です。そのときは、いろいろ話を聞いたのですが、マラリアや蚊帳の話にもなりました。その場で私が、蚊帳の費用の3分の1を集めたら、残りの3分の2をプロジェクトが支援しますよ、と言ったらしいのです。私はぜんぜん記憶がなく、そんなことを言うはずはないと思うのですが、もし言ったとすれば、何らかのアクションをとらないと。というわけで、ちょうど来週土曜日からチン州ハッカ郡へ行く予定になっていたので、その村にはもう一度行ってみます。またの報告をお楽しみに。


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