ミャンマーの正月

2005年1月5日

ミャンマーでは日本でいう新年はあまり盛り上がりません。ミャンマーの正月は1月1日ではなく、4月中旬に行われる「水祭り」のあとに来ます。

それでも外国の影響からか、元旦にもお祝いをする人は増えているようです。ただし、最近は当局の締め付けが厳しく、大っぴらに馬鹿騒ぎをすることは禁止されています。恐らく、そういったドンチャン騒ぎが暴動へと発展するのを当局は恐れているのでしょう。

今年の大晦日の夜は9時半以降外出禁止というお触れが出たので、ミャンマーの人たちのほとんどは家で年明けを迎えることになりました。特に決まった新年の迎え方があるわけではなく、また年越しそばやおせち料理といった特定の食べ物もないみたいです。中にはやることもないので、家でテレビを見たり、カラオケで歌っていたという人もいました。でも悲しいことに、夜になってから停電になって、再び電気が戻ってきたのは12時以降以降という地区もあったそうです。

そんな中、私の同僚も年明けを今か今かと待っていました。でも、ミャンマーでは正確な時間というのがわかりません。テレビをつけても時報が鳴るわけではなく、日本のような電話での時刻通知サービスもなく、街中にある時計台もそれぞれが勝手な時を刻んでいます。当然、こちらの人が持っている腕時計なんて当てになるはずもなく、それぞれがそれぞれの時間で動いています。もっとも「ミャンマー時間」といわれるくらい、時間には無頓着な人たちですから、そんなことは気にもならないでしょうが。

さて、大晦日の夜も更け、いよいよ年明けのカウントダウンが始まろうとしています。私の同僚はヤンゴンでも下町に住んでいます。ヤンゴンの下町にある家々はほとんどが10階建て前後のアパートです。壁は古びて黒ずんでいて、地震がくれば一発で倒れてしまいそうな、そんな何とも頼りのない建物です。そんな一角に住む私の同僚も時計を見ながら、家族とともに年明けの瞬間を待っています。すると、遠くで「ハッピーニューイヤー!」という騒ぎ声が聞こえます。彼は自分の腕時計を見ますが、新年まではまだ何十秒かあります。すると、また別のアパートから騒ぎ声が、そしてまた・・・。少なくとも3軒以上のアパートから年明けを祝う声が聞こえたそうです。それでも彼は辛抱強く自分の時計を信じて、彼の時計で12時を指した瞬間に彼の家族も新年を迎えました。

ハッピーニューイヤー!


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