噂の真相

2004年12月5日

ミャンマーという国は噂で動いているなあとつくづく思うときがよくあります。なぜか、どこからか噂が飛び込み、広がっていきます。コミュニケーションの手段がまだまた未発達なためなのか、噂に頼ることが多いのかもしれません。

例えば、こんなことがありました。6月頃だったと思いますが、ヤンゴンの一角でポルターガイスト騒ぎがありました。ご存知のように、ポルターガイストとは部屋の中の家具などが勝手に動き出すという心霊現象です。映画にもなりました。そのポルターガイストがあるアパートの一室で起こっているという噂が飛び交っていました。噂を教えてくれた知人と一緒に仕事が終わったあと現場へ急行するとそこにはすでに大勢の人が集まっていました。アパートの周りだけでなく、そこへの道にも人があふれていました。おまけに警察まで出動していました。ちょうど私が行ったときにはイスラム教の僧侶がやってきてお祓(はら)いをしていたところでした。それ以前には仏教の僧侶やキリスト教の牧師たちもお祓いをしたそうですが「悪霊」は静まらなかったそうです。あとで聞いたところ、イスラム教僧侶も失敗し、次はヒンズー教の出番となったようです。最後に誰がお祓いの栄誉を得たのか残念ながら知りません。

噂に加えて、ミャンマーの人たちの多くは占いや迷信を信じている人も多いようです。男性の同僚によると、あれは女性が信じているだけと言っていますが、どうでしょうか。一般の人は行き付けの占い師や僧侶がいて定期的にいろいろな相談をしているようですし、政府の高官も占い師や僧侶の意見を取り入れているとか、いないとか。

つい最近ミャンマーで新札が発行されました。10月初旬のことでした。日本ではお札の肖像が変わったようですが、ミャンマーの場合はそれほど大きな変化があったわけではありません。ちょっと写真を見てみてください。新旧紙幣の違いがわかりますか?上が新札です。




そう、明らかにサイズは小さくなっています。でも、それ以外は?と聞かれると迷ってしまいます。これは決して間違い探しゲームではありません。冗談のような本当の話です。新札に切り替えた理由としては、偽札が出回っていたので、その対応策とも言われています。まあ、真相のほうはよくわかりません。

私がとても面白いと思った説は、「縁起担ぎ」説です。ミャンマーには"Yadaya chay de"という言葉があるそうです。「悪運を払う」というような意味だと同僚が教えてくれました。ミャンマーの人の多くは、占い師に「明日は運勢が悪いですね。気をつけなさい」と言われると、その悪運を避けるためにそれまでの習慣を少しだけ変えるのだそうです。例えば、通勤でいつも通る道を変えるとか、ほんのちょっとしたことです。ひょっとしてこのお札の一件も、現政権が悪運を払うためにやったということでしょうか。意外と説得力があるのがミャンマーという国の面白いところです。何しろ以前は、仏教で縁起の良い9の倍数の45チャットという中途半端な金額のお札があったぐらいですから。


Copyright (C) 2004-2005 Hiroyuki Akaso All rights reserved.