いなかのカラオケ事情
2004年11月19日
日本が誇る発明の一つと言えば「カラオケ」は必ず上位に入ってくるでしょう。ミャンマーでもカラオケが日本から来たということを知っている人は多くいます。「どういう意味なの?」とよく聞かれます。
プロジェクトのスタッフの中にもカラオケが大好きな人がたくさんいます。現場へ行ったときには、ときどきカラオケに誘われます。何度か付き合っているうちに気づいたのですが、ミャンマーではなぜか1曲を歌うともう1、2曲は歌い続ける人が多いということです。1曲歌ったのだから、ついでに、ということでしょうか。考えた理由としては、機械のせいということも言えるかもしれません。カラオケの機械は日本のようなものではなく、歌のリストが載っている本もなければ、曲を予約するためのリモコンもありません。また、通常はVCDと呼ばれる映像付きのCDを使います。機械には1枚しか入れられないので、いちいちCDを入れ替えていたのでは、たいへんです。というわけで、ミャンマーの人たちは、1曲歌うと、その前後に入っている歌も歌うのでは?と勝手に考えたわけです。ちょっと無理があるかな?
それはさておき、一番驚いたのは、11月2日に私が訪れた村でのカラオケです。そこは、ミッチーナからエーヤワディ川を船で1日以上も下ったところにある村です。Man
Phwaといい、人口はわずか476人。村への唯一のアクセスは川船のみで、船から降りて、家々が建っている平地まで上がるのも一苦労です。村に入ると、まず川と平行にして走っている通りがあり、それと平行した通りがあと2本。これらと垂直に交わる通りは大きいものでは4、5本あります。村の南には小学校兼中学校があり、北には立派な寺院があります。ここはリス族の村で、仏教徒がほとんどです。村人の中でも男性の多くはアヘン常用者です。ここではアヘンを吸うのではなく、食べるのだそうです。電気はなく、村の中の比較的裕福な家が発電機を持っていて、普通の家はそこから電気を分けてもらっています。村の中にはそんな発電家が2軒あります。1ヶ月契約で300円ぐらいと記憶しています。ただ、電気があるとはいっても、各家庭にあるのはせいぜい裸電球が1、2個といったところで、テレビなどはもちろんありません。ちなみに、飲料水はプロジェクトが支援して村人たちがつくった井戸を使っています。
そんな電気も満足にない村なのですが、夜になるとカラオケ好きが集まってきます。川沿いの通りにある食堂、兼飲み屋、兼カラオケ屋からは夜な夜な大きな音で村中に歌声が響き渡ります。村の多くの家庭は9時になると寝静まるものですが、カラオケだけは10時ごろまでやっていたようです。
私はといえば、この日は村の民家に泊めてもらいました。真っ暗な夜空に輝く無数の星。夜は更け、村が寝静まった闇に響くビルマ語のカラオケを聞きながら、いつの間にか私は深い眠りに落ちていました。